「超霊感ダマサレンダー1号」Vol. 8  露賢老のもとへ



ダイジョロン博士は、インドの奥地にいる彼の瞑想の師のもとを訪れていた・・。

今回の「ダマサレンダー」の一件で、今まで盤石であると信じていた、自分の真理に対する理解、瞑想の境地が揺らいでしまったと感じ、かつて修行三昧の日々を送った、露賢老師のアシュラム(道場)へ帰ってきたのである。

チナミに師は、スワミ・シェキナベベ・ロケンロー(日本語表記:露賢老師)という高名な神秘家である。師の経歴、国籍、年齢などは一切不詳で謎に包まれているが、その深い理解と智慧、ユニークな指導は夙に有名で、彼のもとで光明を得た探求者は数限りない。
瞑想の覚者にしては珍しい、言ってみれば江戸弁のパンクロッカーのような独特の語り口が特徴的である。
流暢な日本語を話すので、日本人ではないかという噂もある。


「なぁ~にぃ~、やっちまったな!」とクールポコ(注)のような声で師は叫んだ・・。
「おめぇ~ばかじゃね~~の~・・ダセェ~あっひひひ~~!爆笑だなこりゃ・・」

ダイジョロンは、ひれ伏し、師の足に触れ、そのまま上体を起こし正座して師の語り始めるのを待った。

「アタマだよ~ア・タ・マ・!・・頭使いすぎてんだよ。おめ~はよ、他人より頭がちぃっとばかり良いかもしんねえけど、”考え”っつうもんに振り回されちまって、こんなめんど~なことになっちまうってえわけだぜ・・っはは。」

露賢老は続けた
「んだからあの時・・そう、おめ~が、新しいソフトってえのか?作ったから名前をオイラに付けて欲しいって言って来た時さ、なんかこんなことになるんじゃね~かとは、ウスラウスラ感じていたワケよ。」

ダイジョロン「・・・」

「なんとなくよ~・・アンタがよ、光明警察なんてえとこに入ってよ、有名になって世間的に尊敬され始めた頃から、少しばっかり様子が変わってきた感じがしてたってえワケよ。
おめ~、ムカシここでサトリみてえのを得た時、すんげ~ピカピカでよ~・・あん時ゃマジで嬉しかったぜぇ、オレ。」

ダイジョロン「はい・・・、私もあの時、すべてが至福に満ち、自らの本性を悟ったと思い、喜びに溢れ、躍り上がったのでした。そ、それが、何年か経つうちに・・消えてしまったのでしょうか・・?」

「うわ~!おめ~甘え~あめぇ~アメェ~~!!一回光明が来たらよ~、その後が肝心なんだよ~!
そいつあ、その”サトリ”ってえやつは生まれたての赤ん坊みてえなもんだからよ、大事に大事に、栄養やって水あげて、時々あやしたりして、じ~っくりと育てんのよ・・、そ~じゃねえと育つ前に病気になって死んじまったり、でかくなったと思ってもグレて家から出てっちまうってなもんなんだぜぇ・・。」

ダイジョロン「・・・」

「だから今回よ、おめぇは宇宙存在のなすがままってえことを忘れて、小賢しいマインドを使って、白黒判別だかなんだか知らね~が、ヨケイなことを始めちまったってえアンバイよ。あ~ハズカシ~・・だいたいな~、判別ってえのが気にくわね~!判別すんのは誰だ・・?ええっ?!!おめ~は神か・・?ってえことよ。」

「だからアイツに名前を付けて欲しいって、おめぇが来た時、こ~なるとは思っていたものの、洒落たグッドな名前をつけて、おめぇの”気付き”の材料にしたかったんだが、残念ながらおめぇの意識のクリア度は、そ~と~落ちてたみて~で、なんも気付かなかったよ~だな~・・、えれぇ~~ダセェ~~。」

「そ、それは、ダマサレンダーという名前のことですか?素晴らしい名前を頂き、本当に有り難いことだと感謝しております。こ、これは、人々が多くのインチキにダマされないように・・というような意味ではないのでしょうか?」

「な~に~・・やっちまったな!!」再びクールポコ(注)のモノマネをした後、師は笑う。
「うっひゃひゃひゃ~~!やっぱそ~くるだろ~!このスットコドッコイやろ~が!」

「は、はーー・・(ダイジョロン再びひれ伏す)」

「しょ~がね~、このまんまじゃワカりそ~もね~から、言いたくなかったけど話してやるよ。」
「え~・・先ずダマだ・・ダマってえのはダンマ、宇宙の法則・・真理ってえことだな。そいつに続けてサレンダー、こっちは英語で降参とかいうんだが、瞑想の世界では献身とか全託っつう意味、よ~するにダマサレンダーってえのは宇宙の法則、真理に全てを委ねて任せるってえことだな・・言葉だけならワカるだろ~・・え~?」

「はっ・はい(顔面紅潮、目に涙)」

「おめ~が、あんまりにも知識ってえかアタマに巻き込まれちまったもんだから、こんな名前を付けて一人で笑ってたんだが、とうとうオイラに説明までさせちまったな・・ダッセ~ハジカシ~・・ぶわっははは~~~!!!」

ダイジョロンはわが身の至らなさを恥じ入るとともに、露賢老師の慈悲の深さに改めて感激し、おおいに泣いた・・
「うお~~ん、うお~~ん・・あ、有り難う存じます~あ、ありが・・あひがど~じょんじば~~ず~~~」

しばし、ダイジョロンが泣き続けた後、二人の間に長い静寂が訪れた・・
それはそれは、美しい沈黙の世界だった。

二人の頭上には、いつの間にか小鳥たちが訪れ、高く舞ながら至福の歌をうたっていた・・。


一時間もしただろうか、露賢老は「さ~て、アレをやってみるか」と沈黙を遮った。
他の弟子達が杵と臼を運んできた。

ダイジョロンは、ハッと何かに気付いたように杵を取り、「師匠お願いします」と言いながら師に杵を渡した。
そして、露賢老はオモムロにそれを受け取ると、こう言った。

「世の中にはどんなオトコがいるんだ~?」

ダイジョロンは、臼の脇に座り言った・・。
「ダマサレンダーとかいうワケのわからんモノを作って、世の中を惑わしてるヤツがいたんですよ~。」

露賢老はそれをうけ・・
「な~~に~~、やっちまったな!」 今日三回目のクールポコ(注)のモノマネである・・。

ダイジョロンが続けた
「男は黙って・・」
露賢老「瞑想!!」
ダイジョロン「男は黙って・・」 露賢老「瞑想!!」
ダイジョロン「男は黙って・・」 露賢老「瞑想!!」
「男は黙って・・瞑想!!男は黙って・・瞑想!!男は黙って・・瞑想!!・・・」

何回も繰り返していくうちに、ダイジョロン博士の顔に歓喜のエナジーが満ちあふれてきた!
うれし涙が頬を伝い無上の喜びに溢れた布袋さんのような顔になっていった・・。

「お~け~!しぇきなべいべ~!!!」露賢老師の大音声が辺りの岩山に響き、師は自室へと帰っていった・・。

注*クールポコ:臼と杵を持ってモチをつきながら世の中の男たちを切り捨てるというネタ一本槍のお笑いコンビ、ネタの最初に「師匠お願いします」と言うが、なんの師匠かは不明である。
興味のある方は、こちらをご覧下さい

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

そうだったのですか。
ダンマ、サレンダーという語呂合わせは、
お見事な奥が深い、露賢老師の、
お言葉でしたね!☆(@@)☆!

Daijyo さんのコメント...

そ~です、そのと~りでありますのです。
ろっけんろ~~~!!!

ちなみにクールポコのネタ映像にリンク貼りました。
よかったらどぞご覧下さい。
露賢老がどんな感じでダイジョロンに語りかけたか・・
よ~くおわかりになるかと思ひますのす。

http://jp.youtube.com/watch?v=G7z5qKcd-LA

ohana さんのコメント...

クールポコおもしろ~い