思えば・・
12才の時、突然父が逝った
悲しかった とてつもなく悲しかった
そしてそれが旅の始まりだった
生死を超えた何かを求める旅
さまざまな景色が通り過ぎていった
時には苦しみ 時には喜び 束の間の色模様が流れていった
不可思議な見知らぬものに導かれるように美しい体験もしたが
多くは蜃気楼のように儚く消え 後には以前と同じ闇が広がっていた
相変わらず深い闇の中で何かを掴もうと藻掻いていた
絶望していた しかも絶望した自分を受け入れずに無理して笑っていた
これでいいのだと自らに言い聞かせながら
しかし・・
存在は私を見捨てなかった
師と出会った
とてつもなくありがたいことが起こった
深い感謝が私の全身全霊を打ち振るわせた
存在は師を通して私を救った
本然の吾を思い出し 私は生と死から救われた
そしてこの夏の終わり 母が肉体を離れた
肉体を去ろうとする最後の日々
とてつもない静寂の中にくつろいでいた
母と私は生死などに触れられようもない場所にいた
肉体が有ろうが無かろうが何も変わらない永遠の場所
ただひとつのいのち
母も子も溶け去り消え果てた久遠の生命だけがある
そのような不可知な光がただそこにあった
父の死に始まった生と死を超えたいと渇望する旅
母が肉体を去る時 旅は趣を変えていたことを告げていた
さまざまな
想い 押し寄せ夏の暮れ
いざ母旅立つ歌添えて
天からの花を仰ぎて歌うたう
魂の詩 母の旅立ち
生も死も
思い煩うことのない
ここにあるこれ母笑う
生も死も
何も変わらぬこの生命
ここにあるこれ母笑う
生も死も
触れられずにあるこの生命
永遠(とわ)にあるこれ
母子消えて
静寂の大安心ぞ 永遠の詩
有無はるか超え 母子溶け去りて
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