超霊感ダマサレンダー1号 Vol.7


善良な市民が家庭崩壊などの被害を受け、各方面から訴訟まで起こされている、家庭用新興宗教カルト白黒正誤判別ソフト「超霊感ダマサレンダー1号」であるが、開発者のダイジョロン・ツカヒーラードン博士は、この二ヶ月半、公の場に姿を現すことはなく、その動向が注目されていた。

しかしこの度、長い沈黙を破り、ダイジョロン博士は、このソフトウェアを最初に世に紹介した、瞑想アクション誌のインタビューに答えた。


-以下、「瞑想アクション新年特別号」より抜粋-

記者「超霊感ダマサレンダー1号が、世間の批判を浴びているようですが・・」

ダイジョロン博士「いやいや、私としてもまさかこのような状況になるとは夢にも思わなかったのですよ、被害を受けられた方々には、本当に申し訳ないことをしたと思っております。」

記者「このような被害が出るというようなことは、開発の課程で予想できなかったのでしょうか?」

ダイジョロン博士「このソフトウェアは、光明警察の使用しているプロフェッショナル用ソフト”瞑想くんめんそ~れ08”をベースに家庭用にカスタマイズし、白黒判別のレベルを私なりに考慮して開発したモノなのですが、科学的に割り出した数値だけでは到底計ることのできない人間の心の複雑さや、微妙な心理の交流によって成立している家庭や社会の実態をマザマザと見せつけられてしまった・・という思いであります。浅学非才の私には想像もつかないことでありました。」

記者「菩提心開発機能の得悟巣照(エゴステール)についてはどうでしょう?突然一家の主人が、サトリの道を求めて出家してしまい、残された家族が路頭に迷うというような事例が数多く報告されていますが?」

ダイジョロン博士「いやいや、人工的なパワーによって半ば強制的に出家させてしまうとは、思いもよらないことでありました。この件については私の瞑想の師からも大変叱られてしまいました・・。私の不徳の致すところです。ハンパな瞑想体験を元にした傲慢不遜な機能であったと、深く深く反省するところであります。」

記者「こちらの方も予想外であったと・・?」

ダイジョロン博士「はい、予想外でありました・・。どうやらこのソフトウェアが自分自身で自動的に成長というか機能拡大し、オーバーパワーしてしまったようなのであります。」

記者「オーバーパワーということは、つまり・・人間の心の闇の部分、言い換えると嘘や欺瞞に光が当たりすぎてしまったというようなことなのでしょうか?」

ダイジョロン博士「そういうことになりますね・・、はい。嘘だから悪い、本当だから善いという単純なモノサシで物事は計れないという基本的なことをすっかり忘れていたようです。」

記者「しかし、出家した方の多くは法悦を体験し、今でも瞑想三昧の日々を送っている方も少なくないとの情報もありますが・・?」

ダイジョロン博士「ううむ・・その辺が今回のモンダイの悩むところなのですが、ううむ・・何が良くて何が悪いのか・・わ、わからんのです。私も今一度インドに行って、師の教えを仰ぐつもりであります。」

ダイジョロン博士は、疲労困憊の様子でこの後、インタビューを中座したそうである。


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