超霊感ダマサレンダー1号 Vol.6

各方面に賛否両論の嵐が吹き荒れる、家庭用新興宗教カルト白黒正誤判別ソフト「超霊感ダマサレンダー1号」であるが、ついに実害の報告が出始めたようである・・。


以下「週間解脱現代」最新号、特集「超霊感ダマサレンダーの実態」より抜粋転載

「超霊感ダマサレンダー1号」のクレーム殺到!次々と明かされるその被害の実態!もう苦情というレベルの問題ではない、これはリッパな犯罪だ!!
ダイジョロン博士は沈黙を守る・・。


=25年も連れ添った、仲の良い夫婦が・・=
被害者Aさん(主婦50才)の手記より

わたしと主人は本当に仲の良い夫婦でした・・あのダマサレンダーを購入するまでは・・

結婚して25年3人の子供を授かり、主人の仕事も順調でお金にも困らず、平凡ですが幸せな家庭生活を築いてまいりました。主人はとても優しく、わたしの誕生日や二人の結婚記念日には、必ずささやかですがプレゼントを贈ってくれます。

いつも口癖のように、わたしに向かって、微笑みと共に「愛しているよ」と言い会社に出かけ、残業などの日以外は必ず夕方7時までには帰宅する絵に描いたような、模範亭主なのです・・。

近所の方から家庭生活を安全に守る良いパソコンソフトが発売されたと聞き、先日、あの「超霊感ダマサレンダー1号」を購入。マニュアルを見てその機能の素晴らしさに感心しながら、早速セットアップして起動いたしました。

その日もいつものように主人は、夕方7時頃会社から直行で家に帰ってきました。「ただいま~」と玄関を開け、迎えに出たわたしに「いつもきれいだね~・・」と彼が言った瞬間・・、お経のような大音声が家中に鳴り響いたのです・・。

「だ~ま~さ~れ~ん~だ~びろ~んびろ~ん・・」

これが、あのダマサレンダーから発せられる高次元マントラとかいう警告音を聞いた最初の体験でした。その時は、多分パソコンソフトにありがちな誤作動かも知れないと思い、あまり気にもしないでコンピュータもシャットダウンせずにおきました。

主人はお風呂から上がるといつものようにバスタオルを巻いただけの姿で缶ビールを飲みながら、わたしが用意した夕食を食べ始めました。
「ん~~、おまえの唐揚げは、いつ食べてもさいこ~だな~~、ほんとにおまえは俺の好みの味を知り尽くしているよ~~、いや~オレは世界一の幸せ者だな~~・・」と言い終えた瞬間・・!

「だ~ま~さ~れ~ん~だ~びろ~んびろ~んびんびろり~~~んにょろごっつ~・・」

またまた、あの高次元マントラとやらが、幸福の光の差していた食堂にコダマしたのです!

勿論、機械の言うことに過ぎないわけですから、気にする必要はなかったのですが、このソフト・・何せかの有名なダイジョロン博士が開発したという世間でも評判の装置ですし、その機能は、光明警察もその優秀な性能に太鼓判を押しているというハナシ・・。わたしは段々と不安になってきたのでした。

主人がわたしに「愛しているよ」と言えば、「だ~ま~さ~れ~ん~だ~・・」

「おまえと結婚して、ほんと~によかった~~~」と言えば「びんびろり~~ん・・」

娘に「おまえは母さんに似て、美人だな~~ほんとに良かった」と言えば「びょろびょろりもさ~~」

主人も事の次第が、段々とわかってきたようで少し不安な表情に変わってきました。彼もこの「ダマサレンダー」のことは、よく知っているはずです。

「あ、あれ、き、今日買ってきたの?こ、これ、ダマサレンダーとかいうやつだろ・・?詐欺とかに反応するやつ・・はは・・こ、こんなもんは、アテにならんオモチャだよ・・オ、オレの言葉に反応するわけないじゃ~~ん・・は、はは・・。」

と言うやいなや、またもや更に音量がアップし、なにやらピカピカと光が主人の顔に向け照射されたのです・・!

ぴかぴーか・・ぴかぴーか・・「だ~ま゛~ざ~れ゛~ん゛~だ~じょぼじょぼじょぼりろりろりろ~ぱ~ふ~ぱ~ふ~!」

「う、う~~・・む・・」主人は、何かに打たれたように椅子から転げ落ち、仰向けになって気を失ってしまいました。

「あなた~~!あなた~~!!」主人の身体を揺すり、叫びながら呼びかけました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

わたしにとっては、1時間にも感じられましたが、後で時計を見ると2~3分後のことだったようです。彼は目を開けると、静かに立ち上がりました。

「あ、あなた、大丈夫なの?」

見たことのない光を顔から発し、うっすらと目に涙を浮かべながら、普段の彼の軽い口調ではなく、どこか威厳のある語り口で話し始めたのです。

「いや・・どうやら私は、ウソと欺瞞に満ちた人間だったようだ・・。まずい唐揚げをいかにも美味そうに食べ、飽き飽きしたお前の顔を綺麗だと言い、うんざりするような退屈な生活をいかにも楽しげに演じ、感謝のふりをし、幸せだと言い・・」

わたしは驚きとショックで言葉も出ません。

主人は続けました。「私は気づいてしまったのだ・・ひたすら我慢に我慢を重ねてきたことを。そうだ・・我慢をしていたことさえ気がついていなかった・・。お前には大変すまないことをした、本当に申し訳ない。これから私は真実の道を求めて出家し、インドの奥地を托鉢して歩こうと思う・・。」
と言うと、お風呂から上がってバスタオルを巻いただけの姿で外に出て行ってしまいました。

あまりに突然のしかもワケの解らないことだったので、わたしは口を開けたまま、主人を止めることもせずに立ちすくんでいました。

10分も経ったでしょうか、ワレに返ったわたしは慌てて玄関先まで飛び出しましたが、もう主人の姿はどこにもありません・・、玄関脇のアルミフェンスに彼のバスタオルがぶらさがって風に揺れていたのを覚えています。

あれから彼は行方不明です。何処に行ってしまったのかまったくわかりません。警察にも連絡しましたがダメでした。

真実の道・・出家・・、どこかのインチキ宗教に家族をとられてしまった思いです。
ダマサレンダーは、そういったインチキ宗教とかの被害を未然に防ぐアイテムだと聞いています。
これでは、ダマサレンダー自体が加害者ですよね・・、信じていたのに本当に残念です!

こういう被害に遭っているヒトは多いと聞いています。弁護士の先生とも相談して、ダマサレンダー被害者の会の設立を呼びかけ、法に訴えて、徹底的に戦って行こうと考えております。


最後に一言いわせてください・・


「さとる(主人の名前)~~!!!こんのバカヤロ~~!!!お前がくれたイヤリング百円ショップで売ってたぞ~~!!なぁ~にが出家だ~!真実の道だと~~!!てめ~会社からウチまでの道しか知らね~くせに~~!!へ~ん!かえってせ~せ~すら~~バナナでも食いやがれ~~!!二度と帰ってくんな~~~!!!」

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ははははは、
この話も、すごいですね~。
ジョークもさながら、
展開の仕方がすばらしく、
とても感心いたしました。

>バスタオルを巻いただ
>けの姿で外に出て行ってしまいました。

このあたりは傑作ですね~

>てめ~会社からウチまでの
>道しか知らね~くせに~~!!

二度とかえってくるな~の奥さん、
ここもすばらしい~、ははは。

昨今のスピ系の世界に、こういうスピリチュアルジョークなどいいかもしれないですね。

いままでにないですからね~。
これはいかもですよ~。