一泊バス紀行



 一泊バス旅行で茨城に行った。
寺の世話人さんたちと年に一回の恒例行事。

皆で話し合った結果、昨年に引き続き親鸞さんの遺跡がある茨城方面に行くことになった。

宿泊先は北茨城の海沿いにある五浦温泉。
一緒に行った茨城在住の石屋さんの話によると、ここはアンコウ鍋がムカシからの名物なのだそうだ。
しかし最近ではアンコウを秋田から取り寄せているらしい。

なぜ?と聞くとアンコウは深海魚だから水揚げ禁止になっていると言う・・。

そこで小生はハッと気がついた・・!
あっそ〜か!ここは北茨城・・福島の一歩手前だ。
茨城県とは言え、ここから10分も北へ車で走れば福島県。
この海岸線を辿って行けば福島第二原発、そしてさらに行けば例の福島第一原発があるのだ。
今でも汚染水を放出し続けている”あの場所”がこの海岸線の少し向こうにあるのです。
改めて地図を見ると、ほんの目と鼻の先に位置しているように見える・・、そうか、こんなに”あの場所”に近いところまで来ていたのかと少し驚いた・・。

放射性物質は海底に溜まりやすい、だから海底近くに生息するアンコウは水揚げ禁止になっているという・・。

何とも言えない吾がココロの感じを眺めながら夕方6時になった。
秋田産のアンコウ鍋をつつきながら宴会だ。おお、うまいうまい!アンコウ!
少しお酒も入ってグッスリ寝た。

ちょいと早起きして、朝風呂へ・・。
露天風呂・・ざば〜んざば〜んと波打つ太平洋を見下ろす絶景風呂だ。

「海に県境など関係ないからな・・、海はずーっとつながっているんだもんな」などと思いながら、五浦温泉自慢の源泉温度70度を誇るという風呂に入る・・ああ、良い気持ちだ!

朝の陽を受けた目の前の海は、黄金色に水面を輝かせながら波打っている・・。
放射能に汚されてしまったという雰囲気を微塵も感じさせずに・・。
ただただ豊かに美しく、なにものにも触れられない荘厳な神秘をたずさえて・・
ただそこに海は”在る”・・。

そうだ、放射能でさえ触れることの出来ないもの・・
ある神聖なものが、ただゆったりと自然にその自在なるリズムと歌を奏でている。

得も言われぬ”ありがたさ”がそこにあった・・

そして、同時にあまりにも愚かな人間の”無意識の闇”というものを観照してもいた。

不思議と言えば不思議・・あたりまえと言えばあたりまえ・・
なんと神秘なことでしょう・・!!

帰り道バスは、ある海産物の市場に寄った。平日だというのに大盛況である。
駐車場に入る車は渋滞を起こし、長い列を作っていた。
値段は安く、美味そうな魚をはじめとする海産物がずらりと並んでいる・・。
買い物客は発泡スチロールなどに品物を入れ、喜々とした様子で買い物を楽しんでいた。

小生、魚は大好物・・だが、何も買わなかった。










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